菓子屋横丁
かおり風景100選の横丁
小江戸・川越のシンボル「時の鐘」から歩いて数分。
蔵造りのメインストリートから一本路地に入ると、どこからともなく醤油の焦げる香ばしい匂いや、ニッキの甘くスパイシーな香りが漂ってきます。
そこは、色とりどりのガラスが埋め込まれた石畳の道に、20軒ほどの菓子屋が軒を連ねる菓子屋横丁です。
一歩足を踏み入れれば、まるで昭和の時代に迷い込んだようなノスタルジックな空気に包まれます。
この独特の雰囲気と香りは、環境省が選定する「かおり風景100選」にも選ばれており、ただ歩くだけで五感を刺激される癒やしのスポットとなっています。
関東大震災がきっかけで生まれたお菓子の里
菓子屋横丁の歴史は古く、明治時代の初めに鈴木藤左衛門という人物が、この地で江戸っ子好みの菓子を製造したのが始まりといわれています。
当初は数軒の菓子屋があるだけでしたが、この横丁が飛躍的に発展するきっかけとなったのが、大正12年(1923年)の関東大震災でした。
震災によって東京の菓子業者が壊滅的な被害を受けたため、被害の少なかった川越に注文が殺到。
東京への供給基地としてフル稼働することになり、昭和初期の最盛期には70軒以上もの業者が軒を連ねる一大生産地となりました。
現在は店舗数こそ減りましたが、その歴史と職人技は脈々と受け継がれており、手作業で作られる素朴な駄菓子は今も多くの人々を魅了し続けています。
食べ歩きグルメ
童心に帰る駄菓子の宝庫
菓子屋横丁を訪れたら絶対に手に入れたいのが、名物の長いふ菓子です。
95cmの黒糖ふ菓子を、まるで刀のように抱えて歩く観光客の姿は、川越ならではの微笑ましい光景です。
見た目のインパクトだけでなく、沖縄県産の黒糖を使用したコクのある甘さと、サクサクとした軽い食感は、一度食べ始めると止まらなくなる美味しさです。
他にも、職人がその場で作り上げる精巧な飴細工や、昔懐かしいニッキ飴、ハッカ飴、カルメ焼きなど、コンビニでは見かけなくなった駄菓子たちが所狭しと並んでいます。
数十円から買えるものも多く、カゴを持ってあれこれ選んでいると、大人でもつい時間を忘れて夢中になってしまいます。
行列のできるパン屋とモダンなカフェ
最近の菓子屋横丁周辺は、昔ながらの駄菓子だけでなく、新しいグルメスポットとしても注目されています。
特に有名なのが、横丁の入り口付近にある「川越ベーカリー楽楽」です。
国産小麦と天然酵母にこだわったパン屋で、看板商品のお味噌のパンは、埼玉産の味噌を使用した甘じょっぱいクッキー生地が絶品。
焼き上がり時間には行列ができるほどの人気店です。
また、さつまいもの産地としても有名な川越らしく、食べ歩きができる「いも恋」や、おしゃれなカップに入ったさつまいもチップス、レモネード専門店などのモダンなカフェも増えています。
古き良き駄菓子と、写真映えする最新スイーツの両方を楽しめるのが、現在の菓子屋横丁の魅力です。